パピルスマジック その1
あらすじ①
2018年8月、画家を目指す高校生の黒谷青磁は幼なじみの千歳神楽、栄大地の二人と共に古代エジプト展に来ていた。エジプト神話の神々が描かれた壁画の前で話をしていると、急に外国人に話しかけられる。そして三人はイシスと名乗る女性との出会いにより、世界の命運を握る戦いに巻き込まれるのだった。
シーン①
とある日曜日の美術館前にて。
「おっす、青磁」声をかけたのは栄大地、仲間思いの熱いスポーツマンだ。
「おはよう、大地。すごい汗だね」
「一駅分走ってきたら汗だくだぜ、あちー」「こんな日にトレーニングとは、さすが最強の助っ人だね」
「おう、ところで神楽は?」
「さあ、もう来るんじゃないかな」
「お待たせ!二人とも。まだ開場してない?」ここで到着したのは千歳神楽、明るい性格で誰にでも優しく、モデルをしている。
「開場5分前だよ。ギリギリセーフだね」
「神楽、おせーぞ」
「何よ。じゃあ大地はジュースいらないのね。はい、青磁はメロンソーダね」
「ありがとう、神楽」
「すまん、神楽。謝るからスポドリくれよ」
「はいはい、ちゃんとありますよ」
「サンキュー、神楽」
「全く調子がいいんだから」
青磁は小銭を取り出して神楽に渡そうとするが…
「いいよ。順番待ちしてくれてたお礼だから」
「でも…」
「青磁、こういう時は素直に甘えておくもんだ」
「そうだよ、ね?」
「うん、わかった」
それから三人は喉を潤しつつ、他愛ない話で盛り上がった。間もなく入口が開けられ、三人が入っていく。その背中を何者かが見つめていた。
きみのそばに その3
ハードル走の時間にタイムを計測していると、A子の取り巻きのB子が来てこう言った。
「ねえ、ストップウォッチ動かなくなったんだけど、計測終わってたら交換してくれない?」
恵子は親切にもストップウォッチを貸してあげた。
すると、それを見ていたA子が周りのクラスメート達に聞こえる声で言った。
「みんな~、恵子さんストップウォッチ壊しちゃったみたいよ!」
恵子は反論した。「違う!交換したら壊れていたの!」
ユキちゃんも恵子を悪者扱いされたくなくて援護する。「そうだよ!恵子ちゃんは悪くない!B子さんが壊れたのを渡したのよ!」
すると、A子が不気味な笑みを浮かべてこう言った。
「B子かわいそ~。それにユキちゃんだっけ?あんた体が弱いはずだよね。なんでいんの?あ、そっか~!嘘ついてたんだね。嘘つきの友達は嘘つきってことか。もう学校来んなよ!」
恵子の顔を申し訳なさそうに見たユキちゃんの唇が青く染まり、その場で倒れてしまった。
はめられた。
A子は恵子とユキちゃんの友情に嫉妬し、その友情をぶち壊すチャンスを半年間も狙っていた。なんて執念深いんだろう。
その後保健室に運ばれたユキちゃんは恵子の顔を見るとごめんなさいを繰り返すばかりで、翌日から学校に来なくなった。
恵子は悲しかった。他人の心を傷つけることで優越感に浸る人がいることが。いじめという歪んだ社会の闇を恨んだ。そして何も残せない自分に無力感を覚えた。
とうとう優しい恵子は学校に行く意味を無くした。
「そうか。恵子、つらかったな」
僕は恵子の側にいて、彼女のしゃくりあげる声を聞き続けた。
きみのそばに その2
恵子はアパートの部屋に入ると、大粒の涙を流した。
「うわあぁん」
子どものように泣き出す恵子に僕は優しく話しかける。
「恵子、何があったのか聞かせてくれるか」
「うん」
恵子の話によると、きっかけは些細なことだった。同じクラスのユキちゃんが体育の授業を休みがちで、それを良く思わないクラスメートがいた。そのクラスメートは流行に敏感で友達が多く、A子と呼ばれていた。
ユキちゃんは恵子と同じ幼稚園に通っていた頃から体が弱かったという。恵子は当然それを知っていたし、ユキちゃんが無理をしないでクラスに溶け込めるように協力していた。
しかし、A子はユキちゃんの事情を理解しようとせず、サボり魔と呼んでからかい始めた。すぐにA子の取り巻きや男子達もサボり魔と言い始めた。
恵子はユキちゃんを守りたくて、一緒にいる時間を増やした。
「大丈夫よ、ユキちゃん。私がついてるからね」
「恵子ちゃん、ありがとう。でも私のせいで友達減っちゃうよ。恵子ちゃん、ごめんね」
それから二人は登下校も休み時間も放課後も一緒に過ごすようになり、休みの日には一緒に出掛けるようになった。
ユキちゃんは次第に笑顔が増えて、よく笑うようになった。
一年後、クラスは持ち上がりで恵子とユキちゃんは同じクラスだった。
その頃にはユキちゃんは体力もついてきて、体育の授業に出られるかもしれないくらいになっていた。
そんなある日、災いはやってきた。
きみの側に その1
「ゲーテ様、太宰様、あなた方の心中お察しします。生きることは何故このようにつらいのか。悩みが多く、不甲斐ない自分が嫌になります。」
走り去った電車を見て溜め息をつく。
「平穏を求めれば忙しさに追われ、刺激を求めれば退屈さに襲われる。ああ、この息苦しさは何なのか。こんな人生ならいっそ虫に生まれたかった。」
踏み切りの音が鳴り、遠くに電車が見える。
「この世が舞台で我が魂の役割が演じることなら、こんな中途半端な演技が許されようか。我が肉体には飛び抜けた身体能力も無ければ人目を惹く容姿も与えられなかったではないか。」
電車が近づいてくる。
「迎えに来たか。もはやこの世に魂の安らげる場所は無い。せめて最後に生きる喜びを感じたかった。ああ、恵子に会いたい。」
電車が近くに迫ってきた。
「お兄ちゃん!」
ふと呼び止められた。
「恵子、どうしてここに?」
僕は今の独り言が聞かれていないことを祈りながら妹の答えを待つ。
「ごめんなさい。」
小さな声でそう言ったのが聞こえる。
「どうしたんだ?学校で何かあったのか。」
「わたしね、もう生きてるのがつらいよ。」
恵子の瞳を覗きこむと悲しみの色に染まっていた。
「そうか、お前もいじめられたか。ごめんな。お兄ちゃんに似ちゃったな。」
「うぅ、お兄ちゃん…」
恵子が目にいっぱい涙を溜めて僕の腕にしがみつく。僕は周りの視線から恵子を守るように駅のホームを離れた。
甥っ子が美味しいものを食べるとき
こんばんは。
瀧ひとしと申します。
小説家になることを夢に日々を生きてる者です。
ワタクシには4歳になる甥っ子がおりまして、これがまたかわいいんですよ。
よく笑い、よく食べ、よく動き回る。
元気印を絵に描いたような男の子です。
そんな甥っ子のA君はとびきり美味しい食べ物を食べるときに可愛らしい仕草をします。
最近KIRI チーズにはまってて、食後にA君にもあげたんですね。
そしたら、やたらと気に入ったのか少しずつかじりながら大事そうに大事そうに食べ始めました。
その姿はまるで…
ひまわりの種を食べるハムスターみたい!
3分後、やっと食べ終わったA君の顔を見ると口の周りと両手を真っ白にして幸せそうに笑っていました。
一週間後。
そんな甥っ子がまた遊びにきました。
食事が終わったころに用意されたのは、
抹茶味のマカダミアチョコです。
A君はどうやら今回も気に入ったのか少しずつチョコをなめながら味わい始めました。
その姿はまるで…
ひまわりの種を食べるハムスターみたい!
前回は白いチーズでしたが、今回は緑色のチョコを食べています。
3分後、A君の顔を見ると口の回りと両手を緑色にして幸せそうに笑っていました。
神経根ブロック注射で脂汗!
はじめまして!
瀧ひとしと申します。
小説家になることを夢に日々を生きてる者です。
実は1ヶ月まえから椎間板ヘルニアを患っていまして、なんとか治してもらおうと通院を続けています。
今日は神経根ブロック注射を腰に打ってもらったハナシをします。
注射キライな人は世の中にたくさんいらっしゃいますが、みなさん注射と言っても予防注射や血液検査くらいしか経験がないと思います。
これでも苦手な人には充分イヤな注射のはず。
ところが神経根ブロック注射の痛みは、腕に打つ注射とは比べ物にならない代物。
なにしろ神経めがけて注射を打つ訳です。腕にも神経は通っていますが、腰には背骨に沿って神経の束がまとまっています。
そこへ注射針をブスリ。
想像を絶する痛みが待っていました。
注射は二種類あって先に麻酔薬を患部の近くに打ってもらいます。
これがまたね。
針が触れた瞬間にビクッと下半身が反応してしまいました。痛いやら恥ずかしいやら…。
覚悟はしても痛みをこらえるのに必死でワタクシ、恥ずかしながらレントゲン室の枕にツメを立ててぎゅーっと握りしめていました。
いやはや、心なしか女性の気持ちがわかった気がします。気づくと額に脂汗がにじんでいました。
失礼しました。
麻酔が効いてきたころに、本命の神経根ブロック注射の登場です。
腰に麻酔が広がって妙な感覚に包まれているところに、注射を打ってもらいます。
注射針がブスリ。
うつ伏せで針は見えないのですが、太そう。
麻酔が効いてきたとはいえ、神経めがけて針が刺さります。
痛いやら痛いやら。
もう恥ずかしいとか言ってられません。
例えるなら、酒に酔った状態で背骨にナイフを突き立てられるような感覚です。
ああ、もう死ぬのかな。
とかぼんやりする意識の中で思いました。
冗談ですけど。
それから別室で一時間弱横になり、麻酔が切れて歩けるのを確認してから帰ってきました。
みなさんも、いた~い注射を打つことがないよう、ヘルニアには御注意を。