1997年の恋①

僕の名は白河春男。 白河秋男と雪子の息子だ。 初恋の相手は桃香さんだった。 僕が7歳の頃、27歳の桃香さんはよく遊んでくれた。優しくてどこか儚げで綺麗だった。 2017年8月31日8:00 朝食を終えた僕は制服を来て玄関へ向かう階段を降りていた。 電話が鳴り…

きみのそばに その7

恵子と僕は四国に来ていた。 「お兄ちゃんあったよ!」 恵子が店先でしゃがみこむ。 「ほらここ、だるまさんがいっぱい!」 「ほんとだ。ここ、だよな」 店番をしている夫婦は子どものようにはしゃぐ恵子を珍しげに見ている。次に僕の方を向いた。僕は軽く会…

きみのそばに その6

恵子と一緒におばあちゃんの家に来た。 「アイス食べるかい?」 おばあちゃんは小さな子どもに言うようにそう言った。 大きくなった今でもこうして昔と変わらずに優しく接してくれるのがとても嬉しい。 「「うん!」」 僕と恵子はハモった。 お互い顔を見合…

きみのそばに その5

洗い物をしていると、恵子が僕を呼んだ。 「お兄ちゃん、こっちきて」 「どうした?」 「となりにきて」 「あとちょっとで終わるから」 僕が戻ると恵子はテレビの前に座っていた。 「おお、スマブラやってるのか」 「うん、お兄ちゃんとやりたくなったから」…

パピルスマジック その2

美術館の中は涼しくて、間接照明が点いていた。壁画はレプリカだが、金で出来た装飾品やミイラは本物だと言う。どれもこれも神秘的だ。そんな中でも動物の顔をもつ神々の像は迫力がある。 青磁「ホルス神、アヌビス神、バステト女神…こっちはトト神か」 大地…

おしゃれさん

こんにちは おしゃれさん お元気ですか 今日は手紙を書きます 正直おどろいています 君は僕が知らないタイプの人でした ピアスもするし髪も染める 僕が知らない世界の住人でした おしゃれに無頓着な僕が 飾ることに意味を感じなかった僕が 君と会うのを楽し…

きみのそばに その4

泣きつかれた恵子はソファで眠ってしまった。僕は恵子が風邪をひかないようにタオルケットをかけてあげた。 僕は冷蔵庫を開けて気の利いた食材が入ってないのを確認してから買い物に出かけた。 スーパーに来ると、入口付近には果物が並んでいた。けれど僕は…

パピルスマジック その1

あらすじ① 2018年8月、画家を目指す高校生の黒谷青磁は幼なじみの千歳神楽、栄大地の二人と共に古代エジプト展に来ていた。エジプト神話の神々が描かれた壁画の前で話をしていると、急に外国人に話しかけられる。そして三人はイシスと名乗る女性との出会いに…

きみのそばに その3

ハードル走の時間にタイムを計測していると、A子の取り巻きのB子が来てこう言った。 「ねえ、ストップウォッチ動かなくなったんだけど、計測終わってたら交換してくれない?」 恵子は親切にもストップウォッチを貸してあげた。 すると、それを見ていたA子が…

きみのそばに その2

恵子はアパートの部屋に入ると、大粒の涙を流した。 「うわあぁん」 子どものように泣き出す恵子に僕は優しく話しかける。 「恵子、何があったのか聞かせてくれるか」 「うん」 恵子の話によると、きっかけは些細なことだった。同じクラスのユキちゃんが体育…

きみの側に その1

「ゲーテ様、太宰様、あなた方の心中お察しします。生きることは何故このようにつらいのか。悩みが多く、不甲斐ない自分が嫌になります。」 走り去った電車を見て溜め息をつく。 「平穏を求めれば忙しさに追われ、刺激を求めれば退屈さに襲われる。ああ、こ…

甥っ子が美味しいものを食べるとき

こんばんは。 瀧ひとしと申します。 小説家になることを夢に日々を生きてる者です。 ワタクシには4歳になる甥っ子がおりまして、これがまたかわいいんですよ。 よく笑い、よく食べ、よく動き回る。 元気印を絵に描いたような男の子です。 そんな甥っ子のA君…

神経根ブロック注射で脂汗!

はじめまして!瀧ひとしと申します。小説家になることを夢に日々を生きてる者です。実は1ヶ月まえから椎間板ヘルニアを患っていまして、なんとか治してもらおうと通院を続けています。今日は神経根ブロック注射を腰に打ってもらったハナシをします。注射キ…