きみのそばに その2

恵子はアパートの部屋に入ると、大粒の涙を流した。

「うわあぁん」

子どものように泣き出す恵子に僕は優しく話しかける。

「恵子、何があったのか聞かせてくれるか」

「うん」

 

恵子の話によると、きっかけは些細なことだった。同じクラスのユキちゃんが体育の授業を休みがちで、それを良く思わないクラスメートがいた。そのクラスメートは流行に敏感で友達が多く、A子と呼ばれていた。

 

ユキちゃんは恵子と同じ幼稚園に通っていた頃から体が弱かったという。恵子は当然それを知っていたし、ユキちゃんが無理をしないでクラスに溶け込めるように協力していた。

しかし、A子はユキちゃんの事情を理解しようとせず、サボり魔と呼んでからかい始めた。すぐにA子の取り巻きや男子達もサボり魔と言い始めた。

恵子はユキちゃんを守りたくて、一緒にいる時間を増やした。

「大丈夫よ、ユキちゃん。私がついてるからね」

「恵子ちゃん、ありがとう。でも私のせいで友達減っちゃうよ。恵子ちゃん、ごめんね」

 

それから二人は登下校も休み時間も放課後も一緒に過ごすようになり、休みの日には一緒に出掛けるようになった。

ユキちゃんは次第に笑顔が増えて、よく笑うようになった。

一年後、クラスは持ち上がりで恵子とユキちゃんは同じクラスだった。

その頃にはユキちゃんは体力もついてきて、体育の授業に出られるかもしれないくらいになっていた。

 

そんなある日、災いはやってきた。