きみのそばに その4
泣きつかれた恵子はソファで眠ってしまった。僕は恵子が風邪をひかないようにタオルケットをかけてあげた。
僕は冷蔵庫を開けて気の利いた食材が入ってないのを確認してから買い物に出かけた。
スーパーに来ると、入口付近には果物が並んでいた。けれど僕はそれらに殆ど関心を示さず、缶詰コーナーに向かった。
恵子の大好きな桃缶を手に取ると、次はヨーグルトをかごに入れる。これでデザートは確保出来た。
それから人参、じゃがいも、玉葱、豚肉、甘口のカレールーを選ぶ。それから厚切り食パンと牛乳をかごに入れると、レジで会計を済ませた。
アパートに帰ると恵子はまだ眠っていた。僕はカレーを作り始める。具材を刻んで肉を炒める。お湯をはった鍋に肉と野菜を入れ煮込む。よく火が通ってきたらカレールーを入れてかき混ぜる。そろそろ出来上がるくらいのタイミングで恵子が目を覚ました。
「お兄ちゃん、カレー作ってるの?」
「カレー作ってるよ」
「わあ、パンもある!」
「恵子、そのパンにカレー乗っけるからトースターで焼くぞ」
「はーい!」
恵子は嬉しそうだ。
パンが焼けるまでの間にデザートを作る。ヨーグルトに桃を盛り付けていると、
「わあ、私がこれ好きなの覚えたてくれたの?」
「まあな」
「お兄ちゃん、ありがとう」
それから僕と恵子はカレートーストと桃入りヨーグルトを平らげた。
とても優しい時間が流れていく。